障害厚生年金

障害厚生年金は、組合員(2号厚年被保険者)又は当該被保険者であった方が、傷病により日常生活に支障をきたす場合で、下記のいずれかに該当し、保険料納付要件(※1)を満たしているときに請求することができます。

障害厚生年金を受けるための要件等

次のすべての要件を満たした方は、障害厚生年金を請求することができます。

  • 厚生年金保険(国家公務員共済組合)に加入していた期間に、障害の原因となった病気やけがの初診日(※2)があること。
  • 障害の原因となった病気やけがによる障害の程度が、障害認定日(※3)に法令に定める状態にあること。
障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受けることができる場合があります。
初診日の前々月までに国民年金の保険料未納期間があるときは、障害厚生年金が支給されない場合があります。
※1 保険料納付要件
次のいずれかの要件をみたしていること
  • 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間のうち、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が2/3以上であること。
  • 初診日の属する月の前々月までの直近1年間の公的年金の加入期間のうちに、国民年金の未納期間がないこと。
※2 初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、はじめて医師または歯科医師(以下「医師等」といいます)の診察を受けた日をいいます。
同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師等の診察を受けた日が初診日となります。
※3 障害認定日とは、その障害の原因となった病気がけがについての初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日、または1年6ヶ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合) は、その日をいいます。
  症状が固定したときとは・・・
症状が固定したと判断できる例として次のようなものがあります。
  1. 人工弁、ペースメーカーなどを装着した日
  2. 人工透析開始から3ヶ月を経過した日
  3. 上・下肢の切断または離断した日
  4. 人工骨頭または人工関節を挿入置換した日
  5. 人工肛門または尿路変更術を施した日から起算して6ヶ月を経過した日
  6. 新膀胱を造設した日

【障害厚生年金の例】

[過去の主な請求傷病事例]

目の障害
網膜色素変性症視野欠損など
聴覚の障害
両感音性難聴、両鼓室形成術後後遺症など
そしゃく機能・言語の障害
舌下神経けいれん、喉頭腫瘍、下咽頭癌など
肢体の障害
脳出血、頸椎損傷、脊髄損傷、くも膜下出血、脳腫瘍、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン症候群、もやもや病など
肢体の障害
(下肢切断)閉塞性動脈硬化症、(人工関節装着)両変形股関節症、左変形股関節症など
循環器疾患の障害
(人工弁装着)(除細動器装着)急性大動脈乖離
腎疾患の障害
(人工透析)慢性腎不全、IgA腎症、腎機能障害
肝疾患の障害
アルコール性肝硬変、肝移植術後、肝硬変肝性脳症
精神疾患の障害
統合失調症、鬱病、アルコール依存症、双極性障害、アスペルガー症候群、アルツハイマー型認知症
血液・造血器の障害
慢性骨髄性白血病、再生不良性貧血、白血病、凝固因子欠乏症
その他の障害
クローン病、(人工肛門造設)直腸癌、進行性大腸癌、(人工膀胱造設)膀胱癌、膀胱浸潤

障害厚生年金の請求方法

  1. 障害認定日による請求
    障害認定日に法令に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の翌月から年金が受けられます。このことを「障害認定日による請求」といいます。
  2. 事後重症による請求
    障害認定日に法令に定める障害の状態に該当しなかった方でも、その後病状が悪化し、法令に定める障害の状態になったときには請求日(請求は65歳に達する日の前日まで)の翌月から年金が受けられます。このことを「事後重症による請求」といいます。事後重症による請求の場合、請求が遅くなると、受取が遅くなります。
  3. 併合による請求
    2号厚生年金被保険者である間に初診日のある傷病と、2号厚生年金被保険者となる前にあった他の障害とを併合して2級以上の障害の状態になったときは、年金が受けられます。

障害厚生年金を受けるための請求手続

  • 障害厚生年金及び障害手当金については、各種別の〈厚生年金被保険者であった期間を合算し、一の期間とみなしてその傷病に係る初診日がある実施機関が決定を行うため、ワンストップサービスの対象となりません。
    原則として、初診日が第2号厚生年金被保険者期間(国家公務員共済組合期間)内にある場合のみ請求書の受付を行います。
  • なお、原則として、初診日に加入していた実施機関で年金請求の受付を行いますが、退職一時金の返還が生じる場合は、受付実施機関が変更となる場合があります。
  • 複数の実施機関にかかる被保険者期間がある場合は、障害認定日までの全実施機関にかかる期間分の年金を原則として初診日に加入していた実施機関で決定します。
受給権発生が平成27年9月以前の者は、障害共済年金の決定請求となります。

障害厚生年金の請求の流れ(2号厚年)

1 請求者からの連絡

請求者からの連絡により、請求書を送付

(例えば)在職中の者が、共済組合担当者に連絡

      ↓

初診日などの受給要件を確認のうえ、共済組合担当者から請求書や診断書など所属を通じて必要書類を送付(提出先は所属と共済組合を案内)

2 年金請求書の提出

請求者が請求書を提出(ワンストップサービス対象外)

(提出先)原則として、請求書を送付した実施機関に提出

共済組合に提出された請求書は、書類審査のうえ、連合会に回付

3 年金の決定

連合会が年金を決定し、年金証書を送付

年金額

報酬比例額(AとBを比較して高い方の額)

A.本来水準額(イとロの合計額)

この表は右にスクロールできます。

イ 平成15年3月以前 平均標準報酬月額 × 7.125 × 平成15年3月以前の
被保険者期間の月数(注1〜3)
1,000
ロ 平成15年4月以後 平均標準報酬額 × 5.481 × 平成15年4月以後の
被保険者機関の月数(注1〜3)
1,000

B.従前保障額(イとロの合計額)

この表は右にスクロールできます。

イ 平成15年3月以前 平均標準報酬月額 × 7.5 × 平成15年3月以前の
被保険者機関の月数(注1〜3)
×0.998(注4)
1,000
ロ 平成15年4月以後 平均標準報酬額 × 5.769 × 平成15年4月以後の
被保険者機関の月数(注1〜3)
×0.998(注4)
1,000
(注)
  1. 被保険者期間の総月数が300月未満のときは、イ、ロのそれぞれの額に換算率(300月/被保険者期間の総月数)を乗じます。
    また、障害の程度が1級のときは、その額に125/100を乗じます。
  2. 被保険者期間の月数は、障害認定日までの月数となります。
  3. 障害認定日前の他の種別の被保険者期間も算入されます。
  4. 昭和13年4月1日以前に生まれた方は、1.000に読み替えます。

報酬比例額の最低保障額

障害基礎年金が支給されないとき(障害等級が3級のときなど)で、報酬比例額が585,100円に満たないときは、585,100円が保障されます。

加給年金額

224,500円

障害の程度が1級又は2級の障害厚生年金について、その方によって生計を維持されている65歳未満の配偶者(子は除かれます)がいるときに加算されます。
生計維持関係については、老齢厚生年金に加給年金額が加算される場合と同様の取扱いとなっています。

なお、障害厚生年金の受給権が発生した時点で、加算対象となる配偶者がいなくても、その後婚姻等により、加算の要件を満たすことになった場合には、加算されます。

また、加給年金額は、配偶者が老齢厚生年金等を受けているときは支給が停止されます(支給停止の要件は老齢厚生年金の加給年金額と同様)。

障害基礎年金について

障害の程度が1級又は2級に該当したときは、原則として国民年金法による「障害基礎年金」があわせて支給されます。

なお、障害の程度が3級のときは、障害厚生年金のみが支給されます。

障害基礎年金の額

障害の程度 年金額
1級 975,125円
2級 780,100円

子の加算額

障害基礎年金の額には、その方によって生計を維持されている18歳未満(18歳に達した年度末まで)の子、又は20歳未満で障害の程度が1級、2級に該当し、かつ、婚姻していない子がいるときは、次の加算額が加算されます。

なお、障害基礎年金の受給権が発生した時点で、加算額の対象となる子がいなくても、その後、出生等により加算の要件を満たすことになった場合は、加算されます。

子の人数 年金額
2人目まで1人につき 224,500円
3人目から1人につき 74,800円

障害の程度 障害の状態
一級 1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
3 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
4 両上肢のすべての指を欠くもの
5 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
6 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
7 両下肢を足関節以上で欠くもの
8 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
9 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
10 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
11 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が 前各号と同程度以上と認められる程度のもの
二級 1 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
2 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
3 平衡機能に著しい障害を有するもの
4 そしゃくの機能を欠くもの
5 音声又は言語機能に著しい障害を有するもの
6 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
7 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
8 一上肢の機能に著しい障害を有するもの
9 一上肢のすべての指を欠くもの
10 一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
11 両下肢のすべての指を欠くもの
12 一下肢の機能に著しい障害を有するもの
13 一下肢を足関節以上で欠くもの
14 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
15 前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害または長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
16 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
17 身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの
三級 1 両眼の視力が0.1以下に減じたもの
2 両耳の聴力が、40センチメートル以上では通常の話声を解することができない程度に減じたもの
3 そしゃく又は言語の機能に相当程度の障害を残すもの
4 脊柱の機能に著しい障害を残すもの
5 一上肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
6 一下肢の三大関節のうち、二関節の用を廃したもの
7 長管状骨に偽関節を残し、運動機能に著しい障害を残すもの
8 一上肢のおや指及びひとさし指を失ったもの又はおや指若しくはひとさし指を併せ一上肢の三指以上を失ったもの
9 おや指及びひとさし指を併せ一上肢の四指の用を廃したもの
10 一下肢をリスフラン関節以上で失ったもの
11 両下肢の十趾の用を廃したもの
12 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
13 精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
14 傷病が治らないで、身体の機能又は精神若しくは神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を有するもの

Q&A

A省に約30年勤務しています。平成28年2月から病気のため通院中です。
勤務は続ける予定ですが、在職中でも障害厚生年金を請求できるでしょうか?

生年月日:昭和36年8月5日

障害厚生年金は、初診日において被保険者であった方が、その日から1年6月を経過した日又はそれまでに傷病が治ったときや症状が固定したときはその日に、障害の程度が、障害等級の1級、から3級に該当する障害の状態にあるとき、受給権が生じます。
ただし、初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が全体の2/3以上であることが必要です。
なお、平成38年4月1日以前に初診日がある場合は、初診日の前々月までの1年間に保険料未納期間がなければ該当します。
  1. 初診日から1年6月を経過した平成29年8月10日における障害の程度が、障害等級の1級から3級に該当する障害状態にあるときは、その日に受給権が生じますので、在職中でも障害厚生年金を請求することになります。
  2. 障害厚生年金の請求は、「年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)に傷病原因に応じた添付書類を添えてA省の組合又は連合会に提出します。
    共済組合に提出された場合は、共済組合において請求書等を確認した後連合会に提出します。
    連合会では、請求書等を審査の上、受給権を確認し、障害厚生年金を決定し、年金額を年金証書で通知します。
    なお、障害厚生年金は、在職中でも支給されます。
  3. 請求書に添付する書類は、次のとおりです。
    ア. 基礎年金番号を確認できる書類
    • 年金手帳
    • 基礎年金番号通知書
    • 厚生年金保険被保険者証
    いずれかの書類(写し)
    イ. 生年月日を明らかにできる書類
    • 戸籍の抄本(戸籍の一部事項証明書)
    • 戸籍の謄本)戸籍の全部事項証明書)
    • 住民票
    • 住民票の記載事項証明書
    いずれかの書類
    ウ. 障害の状態の程度を示す書類
    1. 医師又は歯科医師の診断書
    2. 病歴・就労状況等申立書
    3. レントゲンフィルム
      次の傷病に該当する場合          
      • 呼吸器系の結核
      • 肺化のう症
      • けい肺(これに類似するじん肺症を含む)
      1. 診断書 2. 病歴・就労状況等申立書は所定の用紙になります。
    エ. 疾病又は負傷に係る初診日を明らかにできる書類
    • 受診状況等証明書
    受診状況等証明書は所定の用紙になります。
    その他、配偶者や子がいる場合には、別途添付書類が必要となります。
障害等級の1級又は2級に該当するときは、国民年金の障害基礎年金が日本年金機構から支給されます。連合会に提出された請求書は審査後、日本年金機構に進達して、同機構が障害基礎年金を裁定します。
A省に30年勤務していた昭和30年4月9日生まれの元被保険者です。現在障害状態にあり近々障害厚生年金を請求する予定ですが、一方老齢厚生年金は65歳まで定額と加給年金額が支給されないと聞いています。障害者に対する老齢厚生年金について何か救済措置はないのでしょうか。なお、扶養している配偶者がいます。
「特別支給の老齢厚生年金」の年金額は、「定額」、「報酬比例額」及び「加給年金額」(加給年金額の加算の対象者がいる場合)の合算額になっていますが、昭和16年4月2日〜昭和24年4月1日までの間に生まれた方については、これらの額のうち、定額及び加給年金額の支給開始年齢が生年月日に応じて、61歳から64歳まで段階的に引き上げられました。
昭和30年4月9日生まれの方は、62歳に達した後、65歳に達するまでは、「報比例額」が支給され、「定額」及び「加給年金額」は支給されません。
しかしながら、昭和16年4月2日から昭和36年4月1日までの間に生まれた特別支給の老齢厚生年金受給権者が65歳前(注1)に退職し、その退職後において厚生年金保険報施行令に定める3級以上の障害等級に該当する程度にあり(注2)かつ、他の種別の厚生年金に加入せず、65歳(注1)に達する月の前月までにその旨の請求があったときは、年金額の計算について特例の適用を受けることができます。これを「障害者特例」といいます。
(注1) 昭和16年4月2日から昭和24年4月1日までの間に生まれた方は「定額等支給開始年齢(61歳〜64歳)」と読み替えます。
(注2) 初診日から1年6月経過後(又はそれ以前に症状が固定したとき)に3級以上の障害状態にあるときをいいます。
具体的には、退職者で障害者特例の請求を行った月(障害厚生年金等の受給者は、特例の適用を受けられる状態になった時点に遡って請求したものとみなされます。)ので、翌月から、年金額について「定額」と「加給年金額」を加算した額に改定します。
< 障害者特例の請求前 >
年金額 = 報酬比例額

< 障害者特例の請求後 >
年金額 = 定額 + 報酬比例額 + 加給年金額
昭和30年4月9日生まれの方が62歳前に退職し、かつ、他の種別の厚生年金に加入せずに62歳に達した時点で3級以上の障害状態にあるときは、老齢厚生年金の決定請求と同時に「障害者特例」の請求を行うと、本来の65歳をまたずに62歳から「定額」「報酬比例額」及び「加給年金額」を合算した年金額が支給されます。

(注) なお、別途障害厚生年金や他制度の障害給付の受給権を有している場合は、いずれか選択(併給調整)して受給することになります。

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