老齢厚生年金の額の在職支給停止
老齢厚生年金を受けている方が、厚生年金の被保険者等※1となって働いているときは、「年金の月額」※2と「賃金の月額」※3の合計額に応じて、年金の一部又は全部が支給停止される場合があります。
※1 |
「厚生年金の被保険者等」= 厚生年金保険の被保険者及び70歳以上で厚生年金保険の適用事業所に勤務している方、国会議員及び地方議会の議員 |
※2 |
「年金の月額」= 老齢厚生年金の額の12分の1の額 |
※3 |
「賃金の月額」= 標準報酬月額と過去1年間の標準賞与額等(ボーナス等)の総額の12分の1の額との合計額 |
在職支給停止額の計算方法
【65歳未満の場合】
年金の月額と賃金の月額の合計額が28万円を超える場合は、その超えた額の2分の1の額が年金から停止されます。
在職支給停止額(月額)=(年金の月額+賃金の月額 − 28万円)×1/2

賃金の月額が47万円を超える場合は、47万円と年金の合計額が28万円を超える額の1/2と、47万円を超える
賃金の額が年金から停止されます。
在職支給停止額(月額)=(47万円+年金の月額−28万円)×1/2+(賃金の月額−47万円)
【65歳以上の場合】
年金の月額と賃金の月額の合計額が47万円を超える場合は、その超えた額の1/2が年金から停止されます。
在職支給停止額(月額)=(年金の月額+賃金の月額−47万円)×1/2

※ |
在職支給停止の基準額となる28万円と47万円は、賃金や物価の変動に応じて改定されることがあります。 |
※ |
第2号厚生年金被保険者以外に他の種別の老齢厚生年金を受けている方の場合は、それぞれの年金額を合計した額を基に停止額を計算します。 |
Q&A
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私は昭和30年4月16日生まれで、A省に32年間在職しています。60歳定年後も引き続き国家公務員として勤務する予定です。在職中でも年金が受けられるのは、どのような場合でしょうか。 |
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特別支給の老齢厚生年金は、次の1.〜3.のすべてに該当するときに支給されます。
- 62歳に達していること。(注1)
- 保険料納付済期間が10年以上あること。(注2)
- 被保険者期間が1年以上あること。
(注1) |
昭和30年4月1日以前、昭和32年4月2日以後に生まれた方の支給開始年齢は特別支給の老齢厚生年金の頁をご覧ください。 |
(注2) |
保険料納付済期間等については特例短縮措置があります。 |
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老齢厚生年金は、被保険者である間、原則としてその支給は停止されますが、総報酬月額相当額と年金額(加給年金額を除いたもの)によっては、年金額の一部が支給されることがあります。
被保険者である間に支給される額(支給年金額)、次の1.、2.によって算定した「総報酬月額相当額」と「基本月額」に基づいて計算されます。
- 総報酬月額相当額 = 当月の標準報酬月額 + (当月以前1年間の標準期末手当等の総額 × 1/12)
- 基本月額 = (年金額(−加給年金額)) × 1/12
(注) |
昭和24年4月2日以降に生まれた方の加給年金額の支給開始年齢は、原則として65歳からとなりますので、特別支給の老齢厚生年金には加給年金額が加算されません。 |
(1) |
総報酬月額相当額に基本月額を加えた額が28万円以下の場合
支給停止なし(全額支給) |
(2) |
総報酬月額相当額に基本月額を加えた額が28万円を超える場合
① |
総報酬月額相当額が47万円を超える場合の支給停止額
ア. |
基本月額が28万円以下の場合
(47万円+基本月額−28万円)÷2+(総報酬月額相当額−47万円) |
イ. |
基本月額が28万円を超える場合
47万円÷2+(総報酬月額相当額−47万円) |
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② |
総報酬月額相当額が47万円以下の場合の支給停止額
ア. |
基本月額が28万円以下の場合
(総報酬月額相当額−基本月額−28万円)÷2
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イ. |
基本月額が28万円を超える場合
総報酬月額相当額÷2
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(注) |
上記計算により支給額が発生し、かつ、加給年金額の支給を受けることができる場合には、上記の支給額に加給年金額が加算されます。 |
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支給年金額の計算例
- 在職中に年金額の一部が支給される例 (2.(2)②アの場合)
年 金 額 |
120万円 |
基本月額 |
120万円×1/12 = 10万円 ≦ 28万円 |
総報酬月額相当額 |
32万円≦47万円 |
停 止 額 |
=(32万円+10万円−28万円)×1/2 |
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= 7万円 |
- 在職中に全額支給停止となる例 (2.(2)①アの場合)
年 金 額 |
120万円 |
基本月額 |
120万円×1/12 = 10万円 ≦ 28万円 |
総報酬月額相当額 |
50万円>47万円 |
停 止 額 |
=(47万円+10万円−28万円)×1/2 +(50万円−47万円) |
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= 18万円 |
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基本月額<停止額により、全額支給停止 |
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平成28年3月にA省を退職し、4月に62歳になり5月から民間会社に再就職し1号厚生年金に加入する予定ですが、2号老齢厚生年金の在職支給停止の額はどれくらいになるのでしょうか。
2号老齢厚生年金の年金額は、178万円6千円です。民間会社での給与は28万円程度、6月に賞与が60万円程度支給になる予定です。また、民間会社に就職する前1年間に国家公務員として6月80万円、12月に100万円の期末手当が支給されました。 |
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公務員を退職した後、民間会社等に再就職して、1号厚生年金の被保険者になり、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が28万円を超えた場合、その超えた額の1/2の額に12を乗じた額が翌月から支給停止となります。
在職中支給停止額={(総報酬月額相当額+基本月額)− 28万円}×1/2×12
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在職支給停止額の計算
- 基本月額の計算
基本月額は、年金額の1/12の額です。
※この表は右にスクロールできます。
1,786,000円
(年金額) |
×1/12= |
148,833.33円
(基本月額) |
- 総報酬月額相当額の計算
総報酬月額相当額は、標準報酬(給与)月額と過去1年間の標準賞与(期末手当等)額の1/12の額とを合計した額です。
① |
6月分の停止額計算の基礎となる総報酬月額相当額
280,000円(標準報酬月額) +1,800,000円(標準賞与額)×1/12 = 430,000円
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② |
7月分の停止額計算の基礎となる総報酬月額相当額
280,000円(標準報酬月額) +1,600,000円(標準賞与額)×1/12 =413,33.33円
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(注) |
6月分の停止額計算の基礎となる総報酬月額相当額は、5月の標準報酬月額と前年の6月から5月までの間の標準賞与額の1/12の合計、7月分の停止額計算の基礎となる総報酬月額相当額は、6月の標準報酬月額と前年の7月から6月までの間の標準賞与額の1/12の額の合計です。
8月分以降についても、1号厚生年金の被保険者である間、同様の計算を行います。 |
- 在職支給停止額の計算
基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が28万円を超えた場合、その超えた額の1/2の額に12を乗じた額が支給停止となります。
① |
6月分停止額計算
{(148,833.33円+430,000円)−280,000円}×1/2×12 = 1,792,990.98 = 1,793,000円
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② |
7月分停止額計算
{(148,833.33円+413,333.33円)−280,000円}×1/2×12 = 1,692,999.96 = 1,693,000円
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(注) |
- 円未満を四捨五入します。
- 支給停止額の計算の結果が停止対象額(年金額から加給年金額を除いた額)を超えるときは、停止対象額を支給停止額とします。
- 8月分以降についても、1号厚生年金の被保険者である間、同様の計算を行います。
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年金の在職支給停止後の支給年額
(1)6月分 1,786,000円 − 1,793,000円 = ▲7,000円(全額支給停止)
(2)7月分 1,786,000円 − 1,693,000円 = 93,000円(1か月あたり7,750円)
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